「自動車とピアノ」にどんな関係が?
「1台の静止している車があり、その真上に9本のロープで固定された重さ350キロのピアノ」があります。もしこのような場面を見たら、どう思いますか?
そうです、これこそ「予想もつかないことが起こるからこそ、保険があるほうがいい」といったメッセージを伝えるための販売プランなのです。
興味深いのは、この9本の命のロープがいつ切れるか、どんな原因で切れるか、全てネットユーザーにより決定されるのです。しかもネットによる生中継で、自身の目で自動車がピアノによって破壊される一幕を目撃できるのです。
これは自動車保険を専門に扱うロシアの保険企業・Intouchが、新しい第三の責任保険「Intouch外的要因保険 External Factors Insurance」を広めるため開催したイベント「Car VS Piano」です。彼らの保険の大部分はインターネットや電話により販売されています。他のライバル社に勝つため、Intouchは販売主力を電子メディアに置き、多くのソーシャルメディアを通して消費者とコミュニケーションをとっています。
事前に彼らは消費者に対して深く調査し、今までの事故やドライバー過失による車両損失保険の販売には大きな2つの問題があることを発見しました。1.保険料が高い 2.熟練したドライバーは自分が注意すれば良いだけで、車両事故は自分以外の人に起こると考えている。だから、今までは車両損失保険に加入するのはバカのすることだと考えている。
新しいIntouch外的要因保険はこの欠点を改善し、目標対象を熟練ドライバーに設定しました。さらに保険料を今までの車両損失保険の半分にしたのです。
ネットユーザーに「事故は自分ではコントロールできない」と感じてもらうため、ウェブ上(carvspiano.ru)でイベントを行いました。それは3台のカメラをこの危険な状態の自動車にセットし、さらに1つの大モニターによりタイムリーにネットユーザーのツイートを表示し、24時間全天候で生中継を行ったのです。Twitterでツイートすれば、この車の運命を決定できるのです。毎日随時選ばれたネットユーザーがポストするツイートを表示し、ツイート内容と現実世界で発生している状況を比較します。もし本当に発生すれば、1本のロープが切断されます。ロープで支えられずピアノが落下すれば、自動車が破壊されるだけでなく、刺激的過ぎるでしょう!
▲ウェブ上でネットユーザーのツイートがすぐに表示され、ピアノが落ちて車が破壊されるかどうか決定されます。
例:明日もし気温が摂氏33度を超えれば、すぐにロープは切断、なければ大丈夫。もし選挙結果で青色陣営が勝てば、すぐにロープは切断。もしロトが外れたら、切れる。株価が上がれば、切れる。林書豪が勝てば、切れる……。
▲現実の状況と比較して、カットされます。
ネットユーザーはさらにTwitter投票を利用して運命のツイートを決定できます。毎日「抽選」は2回で、係員により当選したツイートが公布されます。次の日の設定の時間になれば、質問と結果を比べ、切断か保留かみなさんの目の前で決定されるのです。
▲ネットユーザーも運命のツイートを決める投票が出来ます。コインの裏か表か選択します。
このような活動設定は、最後のときになればより多くの人に注目されるでしょう。活動の3日目にはTwitter上で#carvspianoのキーワード検索は全ロシアで第2位となり、話題になりました。
Intouch Car vs Piano
「Car VS Piano」はソーシャルネットワークのTwitterを利用し、多くの消費者に参加するチャンスをもたらしました。さらにメッセージの拡散が非常に簡単で、その上24時間の生放送で、より活動は広まりました。現代ネットユーザーのスリル・好奇心・怖いもの見たさといった特性を満足させました。これ以外にも、イベント本体のデザインも保険と関連があり、単にネットユーザーの遊び心を満たすだけでなく、ブランドが伝えたいメッセージも含んでいます。消費者はイベントを通して「外からのコントロール不能な要因で事故が起こる」ということを知り、同時にIntouchブランドが革新的で好印象であると感じたのです。
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作者紹介
インターネットマーケティングの観察家 Mika
1960年代生まれで、消費性産業のマーケティング領域において数十年のキャリア。ブランド戦略、製品概念から発売、立ち上げまでの経歴を持つ。今までのマーケティングモデルに関心を寄せながら、Web2.0、Social Mediaの変化にも注目中。
ブログ:jabamay.blogspot.com
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