「ALSOK綜合警備保障」は各種メンテナンス、保険サービスを提供する企業です。去年の初めより、世界女子レスリングにおいて連続10年チャンピオンの地位を獲得している日本人選手──吉田沙保里選手(さらに連続2回オリンピックで金メダルを獲得)を起用しました。その後、ALSOKは巷で老若男女がその名を耳にしたことのある企業となりました。CMでは歌を利用し、一般消費者に馴染み深い最適なシンボルをCMキャラクターとしました。「セキュリティ」という業務の特色をMVによるCMで表現し、まさに消費者を洗脳したのです。
2011年ALSOK「安心戦隊」の歌
外国人である私でも昨年の「安心戦隊」の曲から今年の「1、2、3、4 ALSOK」まで、一度見ただけですぐにテレビCMと一緒に歌うことができ、洗脳されてしまいました。ああ、私の日本語が進歩したのかって?もちろんそうではありません、この事実は洗脳に国境は無いこと、洗脳は使用する言語に関係なく、使用される曲調や画面によることを証明しているのです。言語が違っても簡単に洗脳されてしまうのです!
2012年ALSOK体操の歌
CMでは、たくましい吉田沙保里選手を、人々の安全を守る警備戦士に例え、業務の特長を歌に乗せて表現しています。実際に非常に良くできた方法で、業務の特長が消費者の記憶に残るように作られたCMです!
「安心戦隊」では、フィルムのトーン、マナー、色調、特殊効果において、故意に日本人に馴染み深い「仮面ライダーシリーズ」を真似ています。また、ある種の懐古的な雰囲気も併せ持ち、同時に仮面ライダーの「アクション」による視覚効果で業務の「セキュリティ」の印象を強化しています。また今年の「体操の歌」では戦士は憧れの対象から抜け出し、住民により身近に、体操の歌を歌いながら日本各地の有名な観光地や名物と一緒に撮影されています。吉田沙保里選手と伊調馨選手が話している場面を見たとき、この社の業務は信用できると感じました。それにCMキャラクターの二人の誠実さも感じました!
2012年ALSOK体操の歌メイキング映像
更に、2012年撮影のCMのメイキング映像から、日本の合成影像における技術、「光」と「視野」の合理性への取り組みをよく観察してみました。この2012年のCMはそのメイキング映像を見ると、CM場面はほぼ合成なのです。特に畳の間でのダンスの部分は、もしメイキング映像を見なければ、完全にスタジオセットでの撮影であると思うでしょう。しかし実際はグリーンバックによる合成なのです。CMで撮影機の「視野」はほぼ動いていません。さらにZoom In、Zoom OutやDolly In、Dolly OutやPanもないのです。これは撮影視野を簡単に合理的にし、さらには製作コストも抑え、Motion Control(Capture)といった高価な設備も必要ありません。また「視野」の「光」についても心配いりません。さらに映像からわかることは、故意に光の色調や彩度のレベルを弱めに、しかしコントラストを付けて、視覚的に合理性を補っている点です。
合成が良く出来ているので、視線はダンスに集まり、聴覚は歌声に引き寄せられる、とても有効な洗脳的CMとなっています。
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作者紹介
Bruce
国内外でテレビCM製作、映画製作とシアターのマーケティング、日本電通社の北京支社の原稿創作部門、またガマニア内では監督を歴任し、現在は日本ガマニアで業務開発部課長(Section Manager)。
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