前回オンライン広告を見かけたのはいつですか?
昨日? 先週? 先月? それとも見たことがない?
消費者は目にした広告にますます説得されなくなっているということが、事実として証明されています。次の調査によると: コマーシャルを信頼できると考えている人はわずか14%、一方 78%の人が友人やオンラインのレビュー投稿者の意見を信頼できる情報源として取り入れています。消費者は今や、製品の派手な包装を受け流すだけの分別を備えているため、こうして「埋め込みマーケティング」や他の販売促進戦略が生み出されるわけです。ウェブ上でも、同じような理由で新たな形態のメディアが出現しています。広告を「自然に」見せるため、広告をサイト自体に統合して「ネイティブ広告」を作り出すというものです。
ネイティブ広告の特別な点とは?
従来のウェブ広告は、画面の上や左、右などに設置されたバナーに表示されます。
消費者はこのようなメッセージをサイトのインターフェースそのものとは無関係な外部情報として認識しやすく、付加(情報)として排除する場合があります。
一方ネイティブ広告では、こうした広告が最も自然な形で表現され、隠された意図のある宣伝情報が消費者に提供されます。
やがて消費者は何の疑いもなく、その情報を潜在的に受け入れるようになります。
*広告がどこにあるか指し示すまでもないでしょう。
OnlyのThe Liberation(開放)
このデンマーク発のヨーロピアン・クロージングラインは15~25歳の若い女性を対象とし、「Only Because We Can(Only 私達ができることだから)」 という姿勢と精神を体現しています。2012年のサマーコレクションを宣伝するため、Only は3人の若い女性と小さな町に住む彼女達の生活を題材にした「The Liberation(開放)」というタイトルのオンラインイベントを主催しました。これは、彼女達の精神が開放され、やがて自分自身の生き方を決めていく様を描いたインタラクティブな短編映画です。
映画による製品の宣伝は、ファッション業界ではさほど目新しいアイデアではありませんが、次の3つの視点から「The Liberation」はユニークなイベントとなっています。
1. 視覚の統合:
「目立つ」かつ「特別」に見えるメッセージを和らげながら、ユーザーエクスペリエンスとコンシューマーエクスペリエンスを結合。
メッセージはできる限り控え目に発信されています。
2. 消費者による選択:
広告は、懸命に注意を引き付けようとするものではなく、内容を詳しく見るか無視するかを消費者が任意で選択できるようになっています。
3. 奥深いメッセージ:
消費者は、個性や独創性を賞賛することにより、単に製品を購入するという行為を超越して、届けられるメッセージを汲み取ることができます。
どのような内容か見てみましょう:
ショートクリップの間にいずれかの女性をクリックすると、彼女と「対話する」ことができ、これら登場人物が着用しているモデル製品が視聴者に表示されます。また興味があれば、いずれかの服をさらにクリックすることでその製品の詳細が表示できます。ストーリー展開でも、例えば、車を動かして場面をエスケープしたり、主人公のデニムジーンズのファスナーを上げたりと、視聴者による決定が必要となります。「The Liberation」は、さらに多くの人々から注目を集めるべく、Facebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Pinterest(ピンタレスト)といった各種のメディアプラットフォームとも連携を図りました。クリップの最後には、視聴者が登場人物に行ったすべての「決定事項」が、視聴者の興味を引きそうな製品と共に表示されます。
* クリップに登場するすべての人物はインタラクティブに動きます。
* 俳優の服を希望される場合は直接購入できます。
* Pinterest(ピンタレスト)で: 「Only Because We Can」のキーワードを検索すると他の人々の意見が表示されます。
「The Liberation」は、本質的には見栄えがする装丁とインタラクティブなデザインを施したカタログにすぎませんが、 読者(視聴者)は、単なる広告にとどまらない明確なエクスペリエンスを気づかないうちに体験することができるのです。選択は消費者が決定します。詳細を知りたければクリックして進むことができるし、 友達と共有したければそうすることも、 また単に映画を楽しみたければ、それもできます。要は消費者の必要次第です。
デジタルスペース時代の到来を迎えようとしている今、消費者が広告に求めるものを知ることが重要です。これが真のマーケティングへの鍵なのです。