もし台湾の観光促進を、我々のような一般市民が主導できるようになったら、あなたはどうしますか?
国家の観光は多くの人々の生活に影響を与える重要なタスクであるのだから、政府が美化してスローガンを統一すべきであり、一般市民が軽々しく操作したらめちゃくちゃになるのでは、と心の中で思うでしょう。
スウェーデンの発想は、一般的な考え方と大きく異なります。スウェーデン観光局は「スウェーデンの管理者(Curator of Sweden)」というイベントをスタートさせました。彼らは「国家は国民により成り立っている。単一ルートで“私が全スウェーデンの代表です”と宣言することなどできない。よって、従来の観光局主導という概念よりも、権利を下に置いたほうがいい。スウェーデンの国民が心の中に描くスウェーデンの風情のほうが適しているはず!」と考えたのです。
スウェーデン観光局は 2009 年から、ソーシャルメディアを利用して国内外のスウェーデン観光希望者とコミュニケーションを図ろうと、@swedenのツイッターアカウントを開設しました。そして、2011年末に「スウェーデンの管理人」という新しいプランの下、スウェーデン政府は@swedenのツイッター管理権をスウェーデン国民に委ねました。その後、選出されたスウェーデン人がこのアカウントの1週間の管理権をもつことができるようになり、管理者は言いたいこと、思ったことを存分に発言することができ、世界に向けて「彼らのスウェーデン」を示しています。
もちろん、スウェーデン観光局は目標もなく勝手に誰かを選択しているのではありません。このツイッターアカウントの発言権が引き渡されるのは、国家の価値を示す能力のある人や特殊な才能を持っている人となっています。例えば、同性愛についてのリーダー的人物、トレンドやデザイン、革新的な領域に携わる人々、農業経営者、学生、作家、コーヒー好きのトラックドライバーなど。
私は自ら観察した数名の管理者から、スウェーデン観光局の「心臓」は本当に大きいと感じ入りました。これらの人々の言論をコントロールしようという意図は見られず、ナチュラルで本当のスウェーデンの風貌を出現させているからです(誰かが暴言を吐くかもしれないのに、です)。
2012年6月11日から6月17日の期間に、管理者を務めたSonjaを例に挙げましょう。彼女の自己紹介は、このように書かれていました。
「私の名前はSonja、27歳のとってもセクシーな女性よ。北スウェーデン出身で、とっても小さな村で生まれ育ったの。そこにいる人々は皆親戚で、誰もがトラクターを持っていて、秋になるとジャガイモの収穫で大忙し。冬は雪かき、春は困惑して、夏は蚊の大群が発生するから長袖の厚手のレザーを着なくちゃならなくて、最悪(mother*ckers)。
19歳の時、全ての持ち物(前のボーイフレンドも含め)をもってGothenburgへ引っ越したの。そして続けて2回妊娠。今は教育レベルの低いシングルマザーだけど、少なくともドラッグも売春もしてないわ。自分のブログをもっているし、よくテレビで国営放送を見ているし。将来、どうなるかわからないけど、先のことを考えるのは苦手。ただ、世界の終わりがきたら、みんなで一緒にあの世に旅立てるのかどうか、とっても知りたいの。」
彼女の紹介文には、本当に普通の国民の対話が展開されており、サイトにはおすすめコンテンツが充満しておらず、誰かが彼女の故郷について質問し、旅行の際の問題について質問し、人生について語り合い…。そうです、実はこれらの真実のQ&Aこそが、我々が旅行で最も気にかける事柄なのです。
スウェーデンの管理人は、特別に悪も善も隠さず、美化もされておらず、そこのあるのは不完全であるものの真の国民であり、毎週1名の各業界を代表する様々な価値観を持った国民の対話により、スウェーデンの魅力を形にして伝えています。
スウェーデンの管理人 Curators of Sweden :
Curators of Sweden
——–
作者紹介
ネットマーケティング観察家 Mika
1960年代生まれ、消費性産業のマーケティング領域で数十年の経歴を持つ。
ブランド戦略から、プロダクトコンセプト確立、販売開始、立ち上げまで経験。
従来のマーケティングモデルのみならず、Web2.0、Social Mediaの変化にも注目している。
ブログ:jabamay.blogspot.com
———