良いデザインは人々に快適な生活をもたらしてくれます。今回の2011年台北世界デザイン展南港展覧館内で活気に溢れる「ユニバーサルデザイン館」を見つけましたか?展示されている製品は、小さいものは日用品から、掲示板や家具といった大きなものまで多種多様で「人を以って出発点とする」をコンセプトに健康状態やお年寄り、身体障害者を問わず誰でも快適に利用できるデザインとなっています。
この「複合式多機能栓抜き」は、「テコの原理」を用いて、力の弱い女性や年配の方でも簡単に飲み物のフタを開けることができます。その他にもネイルアートをした女性の場合、缶ジュースのフタを開ける際、爪に傷がつくんじゃないかと心配になりますが、これには三角に尖った部位が付いていて、これを使えばいくら缶ジュースを開けても、もう怖くありません。
その他に面白い商品として「U型スポンジ」があります。この商品はユニバーサルデザインの特賞を獲得しています。デザイナーは濡れたスポンジが陰干しでは乾きにくく、また細菌も繁殖しやすいことを考慮し、スポンジには一センチ幅の切れ目を入れています。またユーザーはスポンジの窪みを使い一度に皿や鍋の淵を無駄なく洗うことができ、洗い終わった後は立てておくかキッチンの棚に干しておけばOKです。
大勢でパーティーをする時、いつもどれが誰のコップか分からなくなってしまいます。これは紙の折り曲げれる性質を利用した「Who's Cup」で、カップの淵に数字が印刷されており、パーティーの際は自分の数字を決めて折り曲げれば大人数でも誰のコップかがわかり無駄をなくしてくれます。
買い物をして紙幣と硬貨でお釣りをもらうことがよくあると思います。そんな時、この「分」があればお釣りを財布に入れるだけで、硬貨だけが小銭入れに自動で落下し、次に小銭を使う際は反対側を開けるだけでOKです。これで小銭と紙幣を分ける手間が省けます、便利だと思いませんか。
ユニバーサルデザインには七項目の原則があり、三項目以上が当てはまっていればその作品はユニバーサルデザインといえます。
ユニバーサルデザインの基本原則
1. 公平な使用への配慮:どのような使用者にも適した設計を心がけ、可能な限り使用者を選ぶような設計を避け、一目瞭然の設計が望ましい。
2. 使用上の柔軟性:異なる使用者の状況を考え、自由度のある使用方法を提供する
3. シンプルかつ明快な使用法:使用者の期待に沿い、かつシンプルな操作方法、操作における効果的なガイダンスやフィードバックを提供する。
4. 明確な情報:図、言葉、感触など異る伝達手段により必要な情報に対する理解度を高める
5. 誤作動の許容:不注意によるミスを減らすよう製品の設計を行い、ミスや危険が生じた際は、警告を発するようにし、リカバーできる機能を提供する。
6. 身体的負担の軽減:効果的かつ快適に体に負担を感じず使用できるよう設計する。
7. 適度なサイズ及び使用空間:使用者の体型、姿勢、移動性に関わらず使いやすいサイズと操作できる広がりを提供できるよう設計する。
総括:
ユニバーサルデザインは「少数派ではなくすべての人に満足を」であるべきだと言えます。思いやりを持ってデザインすることで、不便だと感じていた人には快適に使用してもらえ、あらゆる使用者のために考えることで、これら製品の使用において、更なる便利さと快適さをもたらしてくれます。またエンジニアとデザイナーの緊密な協力を通じて製品はより私たちと親密なものとなり共存していきます。製品は「使いやすさ」を備えることで多くの共感を得て、たくさんの人の助けとなりユーザーを笑顔にさせてくれます、これもユニバーサルデザインの精神です。
参考資料:
1.http://www.boco.com.tw/
2.http://www.ud.org.tw/web/index.php
3.http://www.ap.buffalo.edu/idea/Home/index.asp
4.http://blog.yam.com/user/yocofish.html
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筆者について
ガマニアエルゴノミックデザインセンター/ Celine Lin
ユーザーを中心とした設計UCD(User-Centered Design)をグループのプロジェクトの実行や改善に応用し、ガマニアの自社製品でユーザーが最高に満足していただけるよう取り組んでいる。
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