ある考え、あるアイデアを説明する時、行き詰ってしまうことがあります。みんなにわかりやすく説明するのは難しいものです。そのアイデアのポイントは何か?なぜそうするのか?なぜ成功するのか?なぜ?どうして?……
だから私はプレゼンのうまいクリエイティブディレクターを尊敬します。チャウ・シンチーのトーク力とトニー・レオンの真摯な眼差しで、死んでいるものを生き生きと語り、乾いたものを濡れていると言い、シャツについた口紅はフォルダを拾ってくれた同僚につけられたものだとごまかし……。自分の考えをしっかりアピールして、顧客や上司に売り込むことは一番大事なことです。
年に一度のカンヌ広告祭が始まりました。08年の受賞作品をご紹介します。このCMは、08年のカンヌ広告祭グランプリ受賞作です。その上、老舗ブランドの再構築にも成功し、ヨーロッパにチョコレートのブームとゴリラドラマーのブームを巻き起こしました。
広告マンから見て、この作品はすばらしいものです。とはいえ説明するのは難しく、顧客を納得させるのも難しいでしょう。このCMを見た広告マン、広告専攻の学生、教授や学者たちはいずれも分析や討論をしています。
「なぜゴリラ?なぜキリンではだめなのか?パンダではだめなのか?ゴリラとチョコレートに何のつながりが?」
「なぜ歌でなく、ドラムでないとだめなのか?ギターではだめなのか?」
「ゴリラの没頭した目つきは、1杯半の牛乳と互いに関係があるのか?」
「このCMの成功の立役者は、フィル・コリンズの歌の方だろう…」
クリエイティブディレクターは、きっと顧客にこんな質問をされたことでしょう……
「牛ではだめなんですか?牛のドラマーではだめですか?ミルクを加えたチョコレートなのに、どうして牛ではだめなんですか?」
筆者について
国内外でテレビCM製作、映画配給、劇場マーケティング、電通北京事務所クリエイティブコンペチーム、ガマニア内部ディレクターに携わる。現在は株式会社ガマニアデジタルエンターテインメント商品開発部課長(セクションマネージャー)。