今年のGDC (Game Developer Conference)は2月末から3月初めにかけてSan Francisco Moscone Centerで開かれました。幸いエルゴノミックデザインセンターもこの世界中のゲームデザイナーたちが集まる催しに参加できました。盛大な催しではすばらしい経験を分かち合うことができ、カジュアルからハードコア、モバイルやコンソールからオンライン、プログラム、美術、サウンドからマーケティングまでと、いずれもゲーム業界の各方面での専門知識を共有できました。
しかし、今回お伝えしたいのは1週間にわたるGDCで学んだカリキュラムではありません。(そう言うと失望するかもしれませんか?)カリキュラムについては今後グループでまとめて勉強会を開く予定です。(乞うご期待!)今回はもっとリラックスできる内容にしたいと思います。
Design In SF, design in life (下を向けばデザインが落ちている)
西海岸のSan FranciscoにはNew YorkやBostonのような東海岸の都市が持つ多様化したクラシックとモダンの芸術的な雰囲気はありません。またParisやRomeのようなヨーロッパ都市の深い歴史と文化の洗礼も受けてはいません。しかしSan Franciscoは初期の西洋列強の殖民、ゴールドラッシュ、戦後のヒッピー文化、そして最近ではDot Com産業の発展を経てきました。それはオリジナリティ、多民族の融合、メインストリームとサブカルチャー、伝統と反伝統、アートとデザインを併せ持つスタイルへとつながりました。芸術は人々が崇め奉る高尚なものではありません。SFでは美術館だけでなく、街角のいたるところで下を見ればアイデアやインスピレーションが転がっているのです。
サンフランシスコに来るなら花を忘れずに。
GDCに来るならIndependent Games Festivalを忘れずに。Independent Games Festival (独立系ゲームフェスティバル)
1998年に始まったIndependent Games Festival (IGF)も今年で13年目を迎えます。ゲーム製作に新風を絶えず吹き込み、インディーズ系ゲーム製作者に頭角を現すチャンスを与えることを目的としています。
今年の授賞パーティーも相変わらず盛況でした。どんな大規模なkeynotesにも劣らず、パーティーではあちこちから口笛と拍手で受賞が称えられ、その場のゲーム製作者の情熱と衝動を感じさせてくれました。同じゲーム業界に携わる我々もすばらしい気分が味わえました。ゲーム製作者というのはスマートでクリエイティブなのはもちろんのこと、キュートでユーモアあふれる人ばかりです! 今年のIGFでは、優れた独立系ゲーム製作者に以下の賞が贈られました。
Seumas McNally Grand Prize (Seumas McNally独立系ゲーム大賞)
Audience Award (最優秀人気賞)
MINECRAFT (Mojang, Sweden)
今年の大賞はSwedenのグループが製作したMINECRAFTでした。MINECRAFTはsandbox style (ノンリニア)のアドベンチャーゲームで、プレイヤーは3D空間でレゴブロックのようなブロックで自分の城を造ったり、破壊して地下を掘り起こしたりできます。プレイヤーはゲームの中で創造と冒険、謎解きが楽しめるようになっています。
Excellence In Visual Art (最優秀ビジュアルデザイン) –
BIT.TRIP RUNNER (Gaijin Games, USA)
Excellence In Audio (最優秀オーディオデザイン)
Technical Excellence (最優秀テクノロジー)
Direct2Drive Vision Award (D2Dスポンサー賞)
AMNESIA: The Dark Descent (Frictional Games, Sweden)
Excellence in Design (最優秀ゲームデザイン) –
DESKTOP DUNGEONS (QFC Design, South Africa)
Nuovo Award (最優秀イノベーション)-
NIDHOGG (Messhof, USA)
横スクロールのフェンシング対戦ゲーム
Best Mobile Game (最優秀携帯ゲーム) –
Helsing’s Fire (Ratloop, USA)
Best Student Game (最優秀学生ゲーム) –
FRACT (University of Montreal, Canada)
IGFは近年GDCのメインイベントの1つとなっています。数多くのクリエイティブな作品を掘り起こしてきたほか、ゲームのポイントは「楽しさ」(Is it fun to play?)にあること、そしてゲームデザインのポイントは楽しい「ゲーム性」を届けることだとゲーム業界に改めて考える機会を与えてくれました。ゲーム製作は多くの若者があこがれる職業です。またすでにゲーム業界に従事するプロの開発者たちの創作意欲が途切れることはありません。GDCで出会った人々はそうした意欲を決して失うことなくこの産業を支え、より多くの優れた作品が現れることを願っています。次回のIGFに期待し、今後ガマニアがさらに多くの輝かしい作品を世界の舞台に送り出すことを望んでやみません。
————-
筆者について ガマニアエルゴノミックデザインセンター
ユーザーを中心とした設計UCD(User-Centered Design)をグループのプロジェクトの実行や改善に応用し、ガマニアの自社製品でユーザーが最高に満足していただけるよう取り組んでいる。 ————–