WOWOWは映画、テレビドラマ、スポーツを主に放送している日本の有料衛星テレビ局です。最近同局ではオンライン視聴サービスを推進すると同時に、1本のコマーシャルを放映しています。コマーシャルでは、梢に止まっている1羽の鷹がある家のガラス窓の外からテレビを見ています。そのテレビには今まさにクライマックスを迎えようという映画が映しだされています。その画面には1台の乳母車が長く伸びる階段を駆け下りていくシーンが映し出され、乳母車をしっかりつかまえていなかった母親が叫び声をあげています。すると鷹は何を思ったのか、羽をはばたかせて飛び、映画の撮影現場に舞い降りたのです!ちょうど休憩して弁当を食べていたスタッフたちは鷹に弁当に狙われていると思い、あわてながら自分の弁当を守ろうとします。しかし、鷹が狙っていたのは弁当ではなく、スタッフのポケットの中の台本でした。鷹が台本を奪った後、その爪でページをめくり、クライマックスのページをめくったその時、突然……
WOWOWプライム テレビCM「鷹編」
広告ではコマーシャルフィルムのストーリーにしばしば動物が登場します。以前おむつと子ども服の広告を撮影した時はしばしば犬を登場させたり、犬を家族の一員にしたり、成長する子どもの遊び相手にしたりするなどしてコマーシャルのストーリーを盛り上げていました。また以前レディースジーンズの撮影をした時にも、蛇を使って女性のラインの美しさを投影したり、ちょっと挑発してみせるような成熟した妖艶さをもたらしたこともあります。
広告に登場する動物はもちろん擬人化されています。広告の中の動物は思想を持っており、個性があり、素晴らしい演技をして「考えた後の行動」をとります。日本の通信会社「SoftBank」は2007年から「日本の家庭」を広告のストーリーの中心に据えたシリーズ広告を始めています。その広告では面白みのある対話と生活の出来事を創造して今日まで放送が続いています。しかも面白いのは、家庭の父親が1匹の犬だということです。この犬の個性は伝統的な日本人の父親にそっくりな犬の父親なのです。
意義のある動物の記号を選択して広告の中に置けば、消費者の感覚を刺激することは容易に理解できます。しかしWOWOWのこの広告にはなぜ鷹が適用されたのでしょうか?
日本では鷹はあまり見られません。一般的に日本の住宅街で最もよく見られるのはカラスと野良猫(台湾であれば、野良犬)です。もし鷹がカラスや野良猫になっているのならば、日常生活でよく見られる動物ということで理解することができます。テレビに映る映像を見ていたカラスや野良猫がストーリーの結末を待ちきれずに撮影現場にとんでいって台本を奪い、最後に乳母車が誰かに止められるのか、それとも誰にも止められないのか……ということを知ろうとします。しかし広告では鷹が使われています。なぜでしょう?
同じ広告業界の友人たちとこの映像について話したところ、皆大笑いして分からないと言います。あるいはこれはただの効果であったり、顧客は「鷹の方がかっこよくて、カラスや野良猫ではかっこよくない」と考えたのかもしれません。4年前に大賞を受賞したミルクチョコレートの広告には自分に酔いしれながら太鼓を叩いていたゴリラがいました。そして誰もが「なぜゴリラ?」と尋ねましたが、受賞したクリエイティブディレクターはただ「うん、もうちょっと考えてみて!」としか答えませんでした。
“Gorilla Drummer” Cadbury Ad (Dairy Milk)
作者紹介
Bruce
以前国内外のテレビコマーシャル制作、映画発行と映画館マーケティング、日本の電通北京分公司でクリエイティブ・ピッチチーム、ガマニア社内ディレクターを担当。現在ガマニア日本の商品開発部課長(Section Manager)。