「スタイリッシュ流行ブランド」が「ホームレスのトップブランド」に?
もし消費者にあなたが必死に運営してきたブランドを、『ホームレスのトップブランド』と位置付けられたら、あなたはどうしますか?
流行に敏感な男女の多くがきっと『A&F 』というブランドを知っているでしょう。スタイリッシュな服のデザインだけでなく、販売員はまるでモデルのような美男美女。また18から22歳のおしゃれな若者にターゲットを絞って販売し、サイズは標準のみ…。
▲まるでスポーツ選手のような体系の男性店員。これはオーバーでしょう!
本来ならこれはマーケティング戦略の一部にすぎず、ブランドが何をしようと勝手です。しかしこの時代、ある人がA&Fのやり方を受け入れられず、個人の力で群衆を動かし、このブランドを『ホームレス界のファーストブランド』にすることができるのです。
Greg Karberというあるネットユーザーが、A&FのCEOの『私は外見に最も目を引かれる
職員しか雇わない』という発言、自分はバック・トゥ・ザ・フューチャーのビフのような姿なのに、太った女性には自分のブランドの商品を着てほしくない、だから大きいサイズの服を販売しない、さらに『どの学校にも二種類の人間がいる。人気者かその逆の若者だ。我々はこの人気者だけを受け入れる。その他は?あきらめるしかない』といった発言を不愉快に感じました。さらに憎らしいのが、このビフはある方針を設けていて、もし服に欠陥が見つかれば、その服を燃やしても、必要とする人に寄付することはしないという…。
このGreg氏はA&Fブランドの撲滅計画を展開しました。まず古着ショップでA&Fの服を数着購入し、ロサンゼルスの貧民街に行き、無料で道端のホームレスに提供しました。さらに動画を撮影し、どのようにしてこの活動に賛同するかをレクチャーしました。
まず、自分のクローゼット或いは近所や友達のクローゼットを見て、不要なA&Fの服が無いか確認する。それからこの服を全て現地のホームレス収容所に寄付する。次に、自分のフェイスブック、ツイッター上でこの活動を広く宣伝し、さらに送信するメッセージに#FitchTheHomelessのキーワードをタグ付けする。
マーケティングの観点からすると、私個人はA&Fは成功していると思います。ポジショニング、製品デザイン、販売雰囲気、製品とのマッチ、全て一貫して『私の製品は最もスタイリッシュな人にだけ提供する』というコンセプトを示そうとし、ポジショニングとしては確かに間違っていません。間違っているのは一般大衆の許容範囲を超えた大胆な発言で消費者の怒りをかってしまったことです。
ブランドポジションは消費者と企業のどちらも決定できる
消費者がブランドのポジショニングを試みようとする行為は、すでに一日や二日のことではありません。ひとつ簡単な例を挙げればきっと理解できるでしょう。『華碩の品質』と言えばばきっと多くの人が続けて『卵で石を叩く』と答え、企業が語る『盤石のごとく確か』とは答えないでしょう。これは消費者自らがブランドのポジションを決めるという明らかな証拠です。
▲このスローガンに同感ですか?
この出来事はSNSメディアが発達した現在で起き、成功する確率を増加させました。それはYouTube、フェイスブックといったタイプのメディアが出現したことにより、消費者が簡単に高らかと意見を発表できる場所を得られ、ひいては本当に消費者のブランドに対する認識を変える機会を獲得できるようになったからです。
このやり方が最終的に成功するかは私も分かりません。この例を挙げたのは、みなさんに消極的な『どうせ消費者はいつでもブランドをこけおろす』という態度で向き合うようにと言いたいわけではなく、ブランドのポジションというのは必ずしも自分の希望通りに形作られるわけではないということを言いたいのです。
消費者の悪ふざけは、常にブランドの行為から発生するもので、もしこの悪ふざけが多くの人に認められたとすれば、それはあなたのブランドに問題があるということを示します。逆に、もし少数だけの馬鹿騒ぎにすぎないなら、ブランドへの影響をさほど心配する必要はありません。かえって別の形で消費者がブランドの知名度を上げるという意外な収穫と考えることができます。
図の出典:
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作者紹介
ネットマーケティングオブザーバー Mika
1960年代生まれ。消費財産業のマーケティング分野で数十年の実務経験。
ブランド戦略、商品コンセプトの市販から発表まで携わる。
従来のマーケティングモデルに関心を持ちつつ、Web2.0、ソーシャルメディアの変化にも注目。
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