困ったことがあるとすぐにドラえもんに泣きつくのび太、人を小ばかにするお坊ちゃまスネ夫、横暴なジャイアン、日本の北海道から沖縄まで1960年代生まれでも2000年代生まれでも誰でもキャラクターの性格を知っています。そしてこれらのキャラクターがTOYOTAの今年のCMになりました。
トヨタ 実写版 ドラえもん CM 1~4総集編 -ReBORN- TOYOTA:
***********以下CMドラマの内容************
アニメ:
静香「大人になったらドライブして、バーベキューして!」
のび太「行こう、行こう!!」
CMビデオ:
30歳になったのび太は静香を連れてあちこち走り回っていた。
電車に乗って、バスに乗り換えて小さな川の河原でバーベキュー~~~
「のび太さん、私、バイオリンのレッスンあるんだ」静香が口をとがらせて言う。 「ええっ!?」のび太の大きなメガネが静香の方を向く。「送っていこうか?」格好をつけたスネ夫が突然現れて、手にした鍵を揺らす。
静香はスネ夫のジープに乗った。スネ夫は生意気そうにのび太に向って言う。「あれ、なんでのび太は車で来なかったんだっけ?」そうして静香と河原から悠々と去っていった。
「「くやしい><。やっぱり車か。」
家に帰り、のび太は子どものころのように自分の部屋で泣いていた。するとその時、机の引き出しが開き、いつものようにのび太の救い主が現れた!
ドラえもん「のび太くん、久しぶり」
のび太「ドラえもん!!!!」嬉しそうなのび太。
のび太「ドラえもん、車出して!」
ドラえもん「ダメ!」
のび太「どうして?」
ドラえもん「免許、ないじゃん!!」
のび太「免許か…..」
ドラえもん「車なんかなくたってさ、すぐ行きたいところに行けるじゃん。例えば、どこでもドア。」
のび太「知ってるよ。」
ドラえもん「風景が見たいならさ、タケコプター」
のび太はタケコプターを払い落とすと、堂々と言った。
のび太「もう道具に頼りたくないんだ!自分で運転したいんだ!」
のび太「まずモーターショーへ行く!どこでもドア出して」
ドラえもん「頼らないって言ったじゃん……」
***********以上CMのストーリー************
CMでは30歳ののび太がまだドラえもんに頼って問題を解決しています。30歳になったのび太の問題とは車がないことです。静香ちゃんはお金も車もあるスネ夫と一緒に行ってしまいました……これがドラえもんの漫画の標準的なストーリーの一つです。言い換えればCMはドラえもんのストーリーで30歳の男性消費者に対して、車を持っているのか、車を持っていないのか?車を持っていないのび太のようでいいのか?ドラえもんでもいるのか?ということを訴えています。
日本の広告は以前から有名人やアニメや漫画のIPをCMの中に起用して消費者を説得し、記憶させる操作を行ってきました。今年、多くの商品が有名人と漫画のIPを同時に広告の中に出現させるというミックスさせた手法をとっています。例えば、日本の有名な携帯電話通信メーカーの「AU」の通信サービス広告では、「剛力彩芽」と50年前の有名な漫画「巨人の星」を一緒に通信サービス料の広告に取り入れました。また、漫画のストーリを絶妙に組み込んでもいます。IPや有名人の起用はもちろん相乗効果があります。しかもIPにはいつでも周辺販促キャンペーンやギフトとして商品の各種宣伝活動の助けとすることができます。「巨人の星」タオルギフトの製作は「剛力彩芽」のスケジュールを押さえるよりもはるかに簡単です。
KDDI au スマートバリュー「入団記者会見」剛力彩芽30秒CM
(請嵌入影片連結:
(ビデオのリンクをエンベッドしてください:
http://www.youtube.com/watch?v=r3QVqA3Wxk0)
TOYOTAの広告に戻りますが、今年のシリーズ広告ではドラえもんというIPを使っただけではなく、さらにすごいのは有名人をドラえもんのキャラクターにしてしまったことです。妻夫木聡が30歳ののび太、前田敦子がジャイアンの妹(可愛すぎる~)、そしてドラえもんを演じているのはなんと有名なヨーロッパの俳優ジャン・レノなのです!!銃を手にしてマフィアをやっつけ、地球を破壊しようとするゴジラと戦うジャン・レノがなんと日本でドラえもんを演じているのです。
ジャン・レノにドラえもんを演じさせるために、クライアントと広告会社は大変苦労したに違いありません!もっとも有名なドラえもんのアニメキャラクターを脇役にして、さらに大枚をはたいてジャン・レノにドラえもんというキャラクターを演じさせるには大胆さだけではなく、「財力」も必要だったはずです!もちろんTOYOTAの戦略は基本的に成功しました。何度も広告を見た消費者は、なぜジャン・レノにドラえもんを演じさせたのか誰も知らないでしょうが、消費者は「のび太コンプレックス」をTOYOTAの広告に移し、商品を覚えてもらい、ジャン・レノがドラえもんであることを覚え、また…自分がそろそろ車を買う頃だということも覚えたのです。
イメージソース:http://cdn.mkimg.carview.co.jp
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作者紹介
Bruce
かつて国内外のテレビ広告の制作、映画の発行と映画館へのマーケティングを担当し、電通北京支社のクリエイティブピッチチーム、ガマニア社内ディレクター、及びガマニア日本商品開発部課長も担当。
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