禁煙、飲酒運転防止、クリーンな選挙、児童への関心、DV根絶、男女平等など…広告主が国民機関、チャリティ組織や児童ファウンデーションの場合、扱う商品は少数派に関わるテーマや厄介なテーマになるでしょう。このような簡単に議論を引き起こす社会テーマを扱うことは、広告主にとってチャレンジであり、試練でもあります。へそくりを隠すような慎重さが必要で、仕事に遅刻しても何も無かったような顔で自分のデスクに向かう度胸も必要です。つまり、慎重かつ大胆に問題を扱うことです。
クライアントはニュージーランドのYWCA。調査結果によると、ニュージーランドで「同じ仕事で、女性の平均給料は男性より10%少ない」です。この問題に対して、YWCAは同等の料金を払うことを提唱します。同等と言うのは金額ではなく、同比率の料金を払うことで、平等にとってかわります。YWCAの動画及びオフィシャルサイトでは、このような争いをデモで国会に行って賃上げを要求するのではなく、「女性の料金を10%減らす」(もしくは男性の料金を10%増す)ことです。この解決方案は実に面白いです。政府に賃上げを要求するのではなく、支払い費用を10%減らすよう、新たな「不公平な観点」を作ることで、「現実の不公平な待遇」に挑戦します。
このCMが伝えたいのは、息子があるだけで、1ドル多く払うことがおかしいですが、それと同じく、息子があるだけで10%多くの給料を貰うこともおかしいです。テーマがまじめで、大胆ではっきりこう告げています:これは差別だらけの社会です。息子があるだけで給料が多くなるなら、息子があるから多く支払わないといけないことを推進します。こうした批判の声と行動で給料の不公平に対抗します。
筆者が一番感心するのは、社会に対抗する手段が、熱くデモをすることや座り込みで抗議するのではなく、「請求書」の不公平で間接的に「給料」の不公平に挑戦することです。さらにこれで社会運動を打ち立てて、国民の支持を集めることです。振り返ってみると、日本でも、お昼の定食のご飯の量が多くて、少食な女性は小盛を頼むのに値段はそのままです。給料が低めで少食なのに、男性と同じく定食セットの700円を負担しなければならないとは…不公平な状況はどこにでもあり、ニュージーランドだけではないようですね。
作家紹介
Bruce
国内外テレビCM製作、映画配給とシネママーケティング、日本電通北京支社クリエーティブ選考チーム、Gamania社内監督、及び日本Gamania商品開発部課長を担当