《G!VOICE》推薦:
「『なあ~なあ~』とは神去村村民の共同言語であり、何もかもゆっくりのんびりしようという意味を表しています。大自然と共存し林業を営み自給自足の生活を行っている、ある世間から隔絶された村が舞台です。主人公は未来に何も目標や方向性を持たない都会からやってきた若者で、神去村に来てから、彼は森林を育むこと、自然を尊重することの重要性を学びます。さらに、人生とは木登りのようなもので、上を見て行くしかない、下に向かっていくことは出来ないという真理を学び、林業生活の中で次第に自身の方向性を見出していきます。この本を読むと、心がリラックスし、ゆったりと大自然に抱かれているような気分になります。ぜひお勧めします。」
内容紹介:
フリーターで食べていこうと考えていた平野勇気は、卒業式の日に母と担任の熊やんの陰謀で、三重県の山奥の「神去村」へ送られてしまいます。そこでは今まで想像もしなかった林業による生活が展開されていました。勇気は素朴な神去村村民と生活し、村民の「なあなあ」という方言と生活の仕方に慣れていきます。林業に携わる屈強な男たちと共に働き、辛い林業の洗礼のもと、当初は「林業なんて」という態度で1日中どうやってこの1日1本しか電車のない村から逃げ出すか考えていた勇気でしたが、大自然と共存し、楽観的に暮らす村民に触発され次第に「神去村」が好きになっていきます。そしてついに、勇気の口から生まれて初めて「なあなあ」の言葉が発せられ……
作者の三浦しをんは「神去村」の山林の様子や山に生きる人々の心情を完全に理解するため、創作時には多くの政府の刊行物を参考にし、さらに実際に遠い山まで取材に訪れました。「なあなあ」は作者が創作した神去村の方言で、実際にはこのような言葉はありません。しかし神去村の舞台設定は関西の奈良県に近い三重県の県境で、「なあなあ」には関西弁の感じがあります。さらに神去村の山でののんびりとした生活のリズムも表しています。作者はインタビューで、「こののんびりとした語感は、山林で百年単位の作業をしている人々の価值観を表しています。自身の未来に方向性や目的を持たず、人生には意義がないと感じている人にぜひ読んでほしい。」と語っています。
——博客来ネット書店より抜粋
作者紹介:
三浦しをん(1976 ~ )
三浦しをんは日本の若手作家の中でも最も期待されている一人で、文学賞の常連です。《まほろ駅前多田便利軒》で第135回直木賞を受賞し、2007年、《風が強く吹いている》がヒットし、同年には佐藤多佳子の《一瞬の風になれ》、森見登美彦の《夜は短し歩けよ乙女》、萬城目学の《鴨川ホルモー》に並び、「本屋大賞」を受賞しました。その3年後、《神去なあなあ日常》で再度「本屋大賞」の十大作品に選ばれました。この作者は流暢な文筆で、個性的で魅力に満ちた登場人物と若者の青春物語を描き、若い読者から支持されています。また、本書はラジオドラマに編成され、NHKラジオドラマ「青春アドベンチャー」で放送されました。
——博客来ネット書店より抜粋