情報があふれるこのインターネット時代に、情報を検索しなければならない場合、まず思いつく手段がインターネットであることは意外ではないでしょう。競争相手がこんなにも多いインターネットの世界で、あなたの提供するサービスに対しユーザーが不満を抱くとすれば、きっとユーザーの忍耐度は1分間にも満たないでしょう。
そのため、どうすればこの情報の大海原の中から、ユーザーにとって直感的かつ効果的な検索方法を提供することができるか、これは非常に重要な課題です!
特にインターネットサイトは大量の情報を提供するサービスなので、スマートな建築家になり、ユーザーの情報検索パターンを理解してインターネットサイトの情報規画に取り組まなければならないのです。
ユーザーの情報検索行動パターン
ユーザーがどのような方法で情報検索を行うか理解していますか?
通常ユーザーの行動は閲覧、キーワードを入力して調べる、関連する情報をたどって探す、他の人に質問して回答を得る等のいくつかの手段に限られます。では、検索行動のパターンはどうでしょうか?
Step 1 凱さんはbooksを通じてダンテの著書神曲を購入したいと思い、検索エンジンでキーワード「神曲」を入力
Step 2 検索結果一覧から項目に目を通し、その中の著書推薦を調べましたが、まだ目的の本は見つかりません
Step 3 もう一度キーワードを「ダンテ神曲」と入力しなおして検索
Step 4 購入したい本が見つかりましたが、その本は売り切れだったので、カスタマーサービスにメールを送信しました
ユーザーは繰り返しこの3つの方法で情報検索を行います。これらの方法を通じて複雑多様な行動パターンが形成されます。このような変化に富む情報検索パターンについて、Marcia Bates博士がまとめ、発展させたのが-情報探索理論-いちご摘み理論(Berry-picking Model)です。
上の図が示しているのは、ユーザーが情報を検索する際にまず検索するターゲットとなるもの(Q)があり、次に自らの考え(T)で検索を進め、求めていた内容(documents, information)を見つけ、それから次のターゲットの検索を進めます。Batesはテキストの位置がまるで果樹園のいちごのようであることを発見し、ユーザーが認知する位置において情報が適切に配置されていれば、ユーザーは検索と閲覧の2パターンの動作を繰り返し、情報を十分に得た後離れていきます(E)。
ユーザーの情報ニーズと検索行動を理解する
ユーザーの情報検索パターンを理解したら、次はユーザーがあなたのサイト上にどんな情報を求めているか、またどのようにして情報検索を行うのか、より深く探っていきましょう。
これらの研究を通してやっとユーザーに対して最も適切な情報システムを構築する出発点に立つことができ、またサイトの可用性を向上させることができるのです。
どうすればいいか?最もよく利用される『検索分析法』と『状況質問』の2つの方法をおすすめします。
検索分析法とは、サイト上の検索情報を調べ、ユーザーが検索する頻度の高い内容と検索行動を分析することです。
状況質問とは、ユーザーと直接顔を合わせ、質問とユーザーの操作行動の観察を行うことです。
サイト上の情報を組織する
ユーザーの情報検索における行動パターンが理解できたら、もしかすると既に次のバージョンの調整に着手する為の方法を思いついているかもしれませんね。
ユーザー研究とインタビューなどの方法を通じて得た情報をもとに、UIの修正、ビジュアルの調整、プログラミングの修正など、サイトの向上を行うことが可能でしょう。では、重要な情報システムの構築はどのように行えばよいでしょうか?
組織システム
ユーザーが検索する情報を組織化する方法として、確定性と不確定性の2つの組織システムに分けることができます。
確定性は文字、年表、地理的位置などを含みます。これらの情報はユーザーが検索したいものとしてすでに知りうるものなので、分かっている情報項目を使って検索します。
不確定性は、テーマ、タスク、観衆、比喩及び混同されているものを含みます。これらは、ユーザー自身が何を必要としているのか不明確であるため、閲覧と連想を繰り返していく方法です。
ユーザーのインターネットサイトの閲覧方式の定義と、選択する全ての組織構造は関連しています。
階層式構造は、上から下への従属関係を持つ階級関係です。
データベース構造。下から上へデータを分類するため、検索と取り出しが便利。
ハイパーリンク。非線形のデータ項目とデータ群が互いに連結し、上述した2項目を主に補足。
表示システム
これは情報の表現方法を指し、しばしば『テキストタイプ』と『アイコンタイプ』の二つの方法が用いられます。
テキストタイプは情報中のリンク、文章タイトル、サイト案内のオプションと検索を含みます。
アイコンタイプは文字を視覚化したリンク表示を指します。
ガイドシステム
ガイドの目的はユーザーが閲覧する際に、ユーザーがどの地点にいるか、また必要な情報はどこにあるかを知る手助けをするものです。
サイト全体ガイドは、サイト上の全てのページを表示した全領域を対象とするガイドシステムです。
サイト内エリアガイドは、サイト全体ガイドシステムを補足するシステムです。
シチュエーションガイドは、サイト全体とサイト内エリアガイドに含まれず、別に設置されたガイドシステムで、通常文章の中に組み込まれています。
サイトマップは、大抵のサイトに設置されているシステムで、書籍の目次のような役割を果たします。
サイト検索は、キーワードもしくはアルファベット順に並び、ダイレクトに検索するシステムです。
検索システム
ユーザーが自ら設定した文字の組み合わせで検索を行うことで、結果を収集、整理し、表示する機能です。
結果の表示方法についてよく用いられるのは、順位方式もしくはレベル方式です。
順位法については、ユーザーが決定を下さなければならないシチュエーションで大きな効果を発揮します。例えば、ショッピング施設で価格の比較をする際、価格順位はユーザーの決定を導く助けとなります。
レベル法は情報に対し理解、或いは使用について学ぶ際に利用されます。例えば、Q&Aの場合、評価レベルや支持の数により、ユーザーがすばやく選別して閲読できるようにします。
まとめ
現在もインターネットでのサービスは次から次へと絶え間なく生まれています。このように多くの競争相手がいる中、その群を抜きん出る為に他にはない独自のサービス内容を提供する以外どうすべきか。サイトの可用性、優れたユーザビリティといったものが次第に競争者たちにとって無視できない重要な課題となるでしょう。
さらにその中に含まれる情報システムは、可用性を評価する重要な一指標です。
サイトのユーザビリティ向上以外に、ユーザーが一度で正確なページを見つけ出せるようでなければなりません。もしユーザーが見つけ出すことができなければ、きっと失望して離れてしまうでしょう。それはサイトそのものが存在しないことと同じであり、これがまさに情報システムが重要である原因なのです。
ユーザーを観察することで、ユーザーのデータ検索パターンを理解し、そして対応策を講じてユーザーに最もふさわしい情報検索の道を作り出して、最も甘いいちごを摘んでもらう手助けをすることがインターネットサイトの建築家の職責なのです!
参考資料
Berry-picking Model by Marcia J. Bates
http://pages.gseis.ucla.edu/faculty/bates/berrypicking.html
Information Architecture for the World Wide Web
http://shop.oreilly.com/product/9780596000356.do
Ambient Findability
http://semanticstudios.com/publications/semantics/000008.php
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作者紹介
ガマニアエルゴノミックデザインセンター/ Kai Hsu
ユーザーを中心とした設計UCD(User-Centered Design)をグループのプロジェクトの実行や改善に応用し、ガマニアの自社製品でユーザーが最高に満足していただけるよう取り組んでいる。
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