母の日がやってきました。P&G(Procter & Gamble)は、2012年ロンドンオリンピック公式スポンサーとして、最近母の日関連のCMを発表しました。CMは日が昇ったばかりの早朝、おかあさんたちが熟睡中の子供をそっと起こすシーンから始まります。朝食の準備をし、学校に送りとどけ、子供が成長し、学んでいく過程で常に寄り添います。そして、この子供たちはオリンピックで輝く選手たちになるのです。さらに、選手たちの影には必ず偉大なる母親が存在し、この子供たちの成功が母親にとっての最大の誇りであるということを訴えかけています。
そして最後にP&Gは「世界で最も大変な仕事、それが最高の仕事。ありがとう、おかあさん。」というコピーを添えています。
このCMのブランド戦略は実に巧妙で、自らのブランドがどれだけ優れているか、どんな慈善事業を行ってきたかなどを一切述べません。ただ真実のストーリーをつづり、母親の偉大さを描き出し、最後にこのお母さんたちのすばらしい愛への尊敬をシンプルに表現するだけです。それに感動した消費者は、自然とその思いをブランドへとシフトさせます。実はこういった控えめなトーンの方が、派手な演出よりも宣伝効果としては非常に大きいのです。CMを通して消費者は、P&Gが「2012年ロンドンオリンピック」に協賛していることを知ります。そして、オリンピック選手の成功はおかあさんの支えのおかげであり、P&Gはこの偉大なるお母さんのパートナーであるということをCMは伝えています。つまり、P&Gは最も神聖なる使命を負っており、実はP&Gこそが最も偉大であるということを間接的に消費者に訴えかけているのです。
P&Gのブランド戦略は見事と言うほかありません。
P&G London 2012 Olympic Games Film
(請嵌入影片:http://www.youtube.com/watch?v=NScs_qX2Okk&feature=player_embedded)
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筆者について
gamaniabrandcenter
ブランドセンターのスタッフが共同で執筆するBlog。
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