「ZARAした?」これはTaipei Cityにおいて最近の挨拶言葉になっています。ちょっと前にユニクロが行ったバス・雑誌メディア・屋外などの華々しい広告と違い、ZARAの唯一の広告はオープニング当日に派手に行った101ライトアップに過ぎません。しかし、それも101が提供したものです。
そして、ロケーションは隠された広告です。ZARAはブランドのゴージャス感を完全に一糸の乱れもなくNY五番街・パリシャンゼリゼ通り・ミラノ・上海南京西通り、そして台北101など五大陸、200軒余りに上る高級エリアにある店舗にまとめ上げました。つまり、広告でブランド価値を作り出すのではなく、ロケーションの最良な店舗で作り出されるブランドの高級感を体験してもらうことを選んだのです。
節約したマーケティング予算は、すべての資源を消費者の“他人とかぶりたくない”“クローゼットにはそのシーズンのニューアイテムが永遠に1枚足りない”というニーズに集中させています。ここを起点に、ZARAの成功したビジネスモデル――ファストファッションを確立し、ZARAのブランドを「ファスト」、「レア」、「リーズナブル」の代名詞に変えたのです。
強靭なサプライチェーンはZARAの最も凄い所で、1年の4シーズンを26シーズンに変え、2週間以内に新商品を必ずリリースすることを徹底しています。ZARAの世界各地にあるデザインチームは400人に上り、全部で40000件にも上る作品を出し、その中から12000件を選び出して毎年の新商品にしています。全ての新商品はデザインから大量生産、さらに全世界の店舗に届けるまで、必ず14日以内に完了させます。そのうえ、ネットを通じてリアルタイムで消費者の嗜好を掴み、すぐさま修正しデザインセクションに反映しています。期待感を持たせることで、消費者を頻繁に来店させ、新商品をチェックさせます。ファストファッションは、消費者のブランドに対する病みつきとも言えるロイヤルティを育てました。
ZARAのファッションセンスは、消費者とともにあるという低姿勢より来ており、スーパーモデルや大スターの集まるファッションショーを行ったことはありません。そして、同じくファストファッション路線を行くユニクロとジル・サンドラのコラボ、H&Mとマドンナやカール・ラガーフェルドとのコラボなど、巨匠デザイナーとの戦略的提携は結びません。消費者を中心にした経営スタイルに専心することで、伝統的なファッションブランドの美意識とビジネススタイルを覆しました。
1千万人が“いいね”をつけるfacebookのファンページの経営も至ってシンプルで、カスタムページング(Tab)もThe Moodが動く画像で全体の雰囲気を紹介し、The Weekがシーズンの新商品を羅列し、PEOPLE!が消費者のコーディネート写真をシェアしているだけです。消費者が王様であるということを実践し、全てをハイグレードなチャンネルに任せ、絶えず迅速に更新する豊かなchic製品、それは控えめかつゴージャスなZARAブランドの最高のモットーです。
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筆者について
ブランドセンターのスタッフが共同で執筆するBlog。
デザイナー、プロデューサー、ミュージシャン、プロモーター、クリエイター、エイリアン……
様々な観点からブランド、マーケティング、デザインに対する見方や考え方を発信。
ブログ:gamaniabrandcenter.blogspot.com
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