「Have a Break,Have a Kit Kat 休憩しよう、キットカットを食べよう」はネスレの『キットカット』チョコバーの広告で必ず使われる有名なキャッチコピーです。
広告で絶えずキャッチコピーを繰り返す目的は、消費者に「休憩の時」に自然と「Kit Kat」と連想させようとしているからです。しかしこのようなブランドの大きな夢は、口で言うだけでは不十分で、最も有効な方法は消費者に本当の意味でこの言葉の意味を理解させることでしょう。Kit Katは驚くべき独創性で、一目見れば「Have a Break,Have a Kit Kat」とは何かを感じることができるようにしたのです。
Kit Katはコロンビアで新発売するチョコバーをプロモーションするために、コロンビアの首都ボゴタの最も栄えたエリアで、屋外広告看板を利用して宣伝することを決めました。屋外広告看板は山ほど見たことがありますが、こういったものは見たことがありません。なぜなら今回Kit Katが用いた屋外看板は、おしなべて他のブランドの広告だったからです。極めつけでしょう!
休憩しようというキャッチコピーは皆理解できると思いますが、問題はどのようにして消費者に休憩とキットカットを結び付けさせるかでした。
Kit Katは思想を『休むことのない』広告主人公に持っていきました。「『休憩しよう』をプロモーションするなら、人々が慣れ親しみすでに屋外に貼られて時間が経ち、雨の日も風の日も仕事をしている広告看板の人物に、Kit KatでHave a Breakしてもらおう」という概念です。
まず、Kit Katは人々が慣れ親しみ、有名で、すでに繁華街に多くの屋外看板ブランドを有している自動車メーカのマツダやBanco Caja Social銀行、化粧品等の広告ブランドとコラボレーションについて協議しました。その後広告の主人公に以前の広告のシチュエーション、スタイリングを再現するよう依頼し、元のブランドのロゴを残したうえで、新たに以前のものとほとんど変わらないポスターを撮影しました。ただ今回主人公は仕事をしておらず、手にはKit Katを持っているのです!
▲元の主人公に依頼し、元の広告に非常に似ているが仕事から離れたポスターを撮影。
▲左が元の広告、右がキットカットを持たせて主人公を休憩させた広告。
▲一日中化粧品を持っていたモデルがついに休憩できた。
▲まだ荷物の運送中?さあ、休憩しよう。
最後に、このポスターを元の広告が貼られていた場所に貼り、「あなたが毎日同じ道を行き来していたら、見慣れた広告が突然別の同じようで同じでない広告に変わったら」という新たな面白味を創り出したのです。このような方法は、新鮮で面白いだけでなく、さらに「この面白い広告を見かけたために写真を撮りFacebookで友だちと共有する」というSNSでの宣伝効果をもたらし、消費者がKit Katを認識する機会を増やしました。
▲元々慣れ親しんでいた仕事に励む広告の主人公が、忙しい中こっそりと休憩している姿に変わったら、笑い出したくなるのではないだろうか。
メインのアピールをするだけでなく、製品とのリンクも忘れていない
Kit Katは巧妙な独創性で広告モデルを『休憩』させただけでなく、製品とのリンクを強化するために、看板のそばにラックを設置してKit Katを入れ、通りがかった消費がポスターの「これらの広告モデルと同じように、あなたも休憩しましょう。おひとつどうぞ」というセリフの後で、すぐに「無料で試食できる」という行動をとらせたのです。すごいでしょう。
▲広告に引き寄せられたら、さらにすぐに行動に移すことが可能。キットカットが無料でもらえる。
この精彩放つブランドの境界を越えたコラボレーションにより、Kit Katは主と客の力関係を逆転させることなく、元のブランドの輝きを奪い去り、さらにプロモーションという目的を達成すると同時に、Kit Katが加わったことにより元のブランドの広告にもユーモラスで人間的な温かみが加わり、クリエイティブでWin-Winとなり、非常にすばらしいことです!